しのぶ ずり。 文知摺

この歌は伊勢物語の初段にも引かれています。 乱れそめにしぞ 「そめ」は「初め」。 根っこは猫の手のようで、苔玉に仕立てることもでき、秋には紅葉し、季節感がありつつも一年を通して独特の風合いを楽しめます。 「しのぶもぢずり」には諸説あるのですが、確かにランダムな染模様は乱れているように見えますし、恋に乱れた複雑な気持ちを表しているように思えました。 今ならば、「麻の素朴な」とか、「絹のように滑らかな」というような比喩になるのだろう。 その地にある 文知摺(もじずり)石。 都から遠く離れた土地から産出される素朴な乱れ模様が「しのぶ 忍 」の語の響きと結びついて、初々しい忍ぶ恋を想像させます。 右写真は境内に建つ 多宝塔で県重文。
34

・みちのくの 忍ぶもちづり 誰ゆえに みだれそめにし 我ならなくに 河原左大臣源融 公の歌が使いの手で寄せられたのは、ちょうどこの時でした。

トオルはその地の村長・山口長者の家に滞在し、長者の娘・虎女(とらじょ・以下トラ)と恋仲になります。

句の解説 恋してはならぬ恋に屈折し乱れる心。

村里の子供たちが言うには「昔は山の上に有ったのだけれど行き来する人が麦を荒らして、この石に擦 りつけて試すので、これを嫌がって谷に突き落としたのです。

そして詠んだ句。

「乱れ」と「染め」は「もぢずり」の縁語です。

49